奈良で見つけた150年続く和菓子

畿内のお取り寄せスィーツと言えば、その殆どは古都京都の情感たっぷりで雅で上品な和菓子、
神戸の中華や洋菓子、それに大阪市内の堂島スィーツ系を思い浮かべる方が多いでしょう。
おそらくは畿内に住んでいなくとも、他の地域に住んでいる方でも、思い浮かべるのはそれぐらい、
というか京都の印象が余りに強すぎるのです。

近畿地方は京都府、大阪府、兵庫県だけではないでのすが、和歌山県と奈良県の印象が薄すぎるのか、
特に奈良県は、奈良にうまいもんなしなんて自慢げにいっている奈良県出身のTVタレントなんかもいるぐらいです。
ですが、奈良は京都の前の日本の首都、文化国日本の礎になった地ですから、
うまいもんなしなんてありえるわけありません。

奈良のスイーツ

ただ奈良市にうまいもんなしといわれれば、鹿せんべいぐらいしか思い浮かばす、「そうなのかな」と思うふしもあります。
ところで奈良県って平城京跡のある奈良市ばかりが奈良県じゃないのを忘れていませんか。
大和郡山、天理、五條、桜井、御所、それに吉野だって奈良県なんです。
奈良市はどちらかといえば奈良県内でも京都府に近い北側にありますが、
たとえば県南部の吉野は、京都に都が移った600年後の南北朝時代には70年に渡って、天皇が御座を置いたところ。

また平城京よりも以前の首都であった、斑鳩は奈良県中南部にあります。
聖徳太子の飛鳥時代に首都だったところです。
だから、これらのエリアのほうが、雅な伝統のスィーツもかなり受け継がれているんです。
ただ葛餅や柿、梅を主体にしたものが多いのも事実です。

特に吉野といえば吉野葛がやたらに多いですね。
それ以外におすすめの伝統スィーツはないのか。
実は以前、吉野・斑鳩を旅行した際、その途中の田原本町の辺りで、とても古い和菓子屋さんを見つけ、
そこでお土産を購入したのですが、それが忘れられず、年に一度、お取り寄せしている和菓子があります。

隠れた名スイーツ・香りあずき

そこで、見つけた和菓子は、香りあずきといいます。
そのお店は慶長年間の創業なんです。
慶長の役って、豊臣秀吉が朝鮮に侵攻した時のことです。
つまりや安土桃山時代から続いているお店なんです。

このお店ではカステラも有名のようですが、カステラでは歴史が感じられないので、香りあずきというのを購入しました。
形は鹿せんべいみたいで、丸く、感じとしてはボーロのあずき版をもっと素朴にしたもの。
見てくれは、あまり美しいとはいえません。
袋を開けると、あずきの香りがする和菓子です。
ボーロと同じく、見た目硬そうなんですけど、ボロっとやわらかく、なかにはあずきがたっぷりと入っています。
つぶし餡だけでなく、小豆そのものも入っているので、
食感もよく、香りだけでなく、味も小豆そのものを感じられるようになっています。

他の地方でものこの手のスィーツって結構見かけるんですが、「香りあずき」が決定的に違うのは皮がとても薄いこと。
だから食べても皮がボロっとはしますがボロボロしないんです。
だから、特にお年寄りにお土産として、差し上げると大変に喜ばれる一品でした。
この和菓子は150年前から作り続けているそうです。